こんにちは(*´ω`*)
雨による被害はありませんでしたか❔
今日は食べ物以外の誤飲についてお話します。
少々長くなりますがご了承ください<(_ _*)>
6月に入って間もなく、朝一番に電話が鳴りました
「猫が昨晩から何度も吐いています。」 猫のはるちゃん(当時7ヶ月)の飼い主さんからでした。
猫はもともと吐くことがあるので、毛玉かな?胃腸炎かな?と思いながらメモを取って聞いていると、耳を疑う発言が・・・
「パーカーのひもが無くなっています。」
・・・ ・・・ ・・・
ガーン😩
「もう一匹とひもで遊ぶのが大好きで、もう一匹が短いひもを吐いていました。」
更にガーン😫
「残りもひもが見当たらないので、もしかしたらはるちゃんが・・・。」
おそらくほとんどの動物病院が、誤飲で厄介なものワースト3に入るのが『ひも』だと思われます
では、『ひも』の何がいけないのでしょう?そしてなぜ食べてしまったのでしょう?
猫の舌がザラザラしているのはご存じですか?
犬の舌は人と同じように表面がツルツルしていますが、猫には“糸状突起”(しじょうとっき)というヤスリのような役割をする構造物があります。
猫は毛づくろいする時に、糸状突起を利用して抜け毛を飲み込みやすくしています。
この糸状突起のせいで、はるちゃんはスルスルとひもを飲み込んでしまいました
はるちゃんのお腹をエコー検査してみると、ひもは胃を通り越して腸まで流れていました
ひもなら、ウンチ💩と一緒に出てくるんじゃないの?と思いますよね。
胃や腸は、“蠕動”(ぜんどう)といって、内容物を肛門まで移動させる働きがあります。
ひもやひも状の物が腸に入ると、この蠕動のせいで腸がアコーディオンのように引き詰められてしまいます。
(お裁縫などでひも通しをする時、布を寄せて通しますよね?寄せて縮まった状態を思い浮かべてください)
引き詰められることで、腸の通り道は塞がれ、食べ物が通れず吐いたり、ウンチが出なくなったりします。
その状態で時間が経つと、腸が壊死したり、すり切れてしまう場合があるので一刻を争います
と言うことで、その日の昼休みはすでに2件の手術が入っていましたが、前倒ししで、診察の合間で終わらせ(井上院長汗だくで頑張りました)、はるちゃんの手術を昼休みに行うことになりました。
お腹を開けて腸を確認していくと、腸の一部が太く硬くなっています
「ここだな・・・」といって井上院長が腸を切って、中の黒いものを取り出します。
出てきたのはやはり『ひも』。ですが、かなり長い引っ張り出しますが終わりが見えません。なので、ここで一度ひもを切り、ひもの終わり部分がありそうな所をもう一度切ります。
同じように引っ張り出し、ようやく全てのひもを取り除くことができました
あとは切った腸を縫合し、お腹を閉じて終了です。
もちろんはるちゃんは入院。しばらくは固形物は食べられません
手術の翌日、はるちゃんは元気でした
まずは少ないお水からスタート。嘔吐がないか確認して、流動食(液体食)を与えます。
手術の2日後からは缶詰が食べられるようになりました
本来ならば、一週間ほど入院なのですが、若いはるちゃんは体力も食欲もあり、経過も順調だったため、術後4日での退院となりました
その後、抜糸を行い、もとの元気なはるちゃんに戻りました
ちなみに、はるちゃんが飲み込んだパーカーのひもがこちらです↓↓
なんと、70㎝越えでした
ひもやひも状の物は本当に危険なので、くれぐれも注意しましょう
ちょっと解かりづらい文章だったかもしれませんが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
もう少し詳しく腸のことが知りたい!という場合は、ぜひ井上院長にいろいろ聞いてみてください(最後はBOSS頼み(笑))