日曜日に診察をしていると、他院がお休みということもあって
急患の子もよく来院されます。
今月初めの日曜日は「昨日からおしっこが出ないんです・・・」と電話がありました。
おしっこが出ないのは、場合によっては命にかかわることもあるので、
急いで来院してもらうことに。
連れてこられた15歳のパグ、治朗君。
過去に前立腺肥大になったことがあり、エコー検査では膀胱はパンパン、
レントゲンでは脊椎症も重症・・・
カテーテルという細長い管を使っておしっこを出して、レーザー等の治療に
ほぼ毎日のように通ってもらいました。
治療の甲斐あり、少しずつ自分でおしっこ出来るようにはなりましたが
それでも量は少なく、同時に便も出にくくなっていたとのこと。
前立腺肥大が原因と思われたので、病院から思い切って去勢手術を提案してみました。
前立腺肥大とは精巣からのホルモンが原因で前立腺が大きくなる病気で、
高齢の雄犬に多く、大きくなった前立腺が周囲の尿道や腸を圧迫して
排尿困難、排便困難が見られます。
治療方法は、前立腺肥大の薬を飲ませるか、去勢手術ということになるのですが、
他の病院ですでに薬を飲ませており、あまり改善が見られなかったのこと。
血液検査で軽度の貧血も見られ、年齢的にも非常にリスクの高い手術にはなりますが
これから先ずっとおしっこが出ない、便が出ないというのを繰り返すよりは
去勢手術をしたほうが良いと、獣医師の立場から判断しました。
飼い主さん、かなり悩まれたとは思います・・・・。
しかし、最後は家族の皆さんで話し合ってもらい、去勢手術を実施することになりました。
いつも以上に緊張する手術でしたが、問題なく終わり、
心配していたよりも術後の麻酔の覚めも早く、15歳とは思えないほど元気!
手術の次の日にはさっそく大量に自分でおしっこを出し、食欲も旺盛
写真は退院時の治朗君。実物の治朗君は写真よりももっと可愛いのですが、
動物の写真って撮るのは難しい!(撮ったことがある人はわかりますよね!?)
撮影後、優しそうな家族の皆さんに囲まれて、元気に帰っていきました
避妊手術や去勢手術は単純に妊娠させないためだけの手術ではありません。
女の子であれば乳腺腫瘍や子宮・卵巣の病気の予防、
男の子であれば精巣の腫瘍や前立腺の病気の予防の効果もあります。
当院では健康な子であれば生後5か月齢以降から手術をすることができます。
病気になってからの手術ではどうしてもリスクが高くなってしまいますので
大切な家族の一員の健康のために、ぜひ早めにご検討くださいね。